引越し時の住民票手続きの方法や期限について分かりやすく解説
引越しをする場合、インターネットの回線や電気、ガス、水道の手続きなど、やらなければならないことがたくさんあります。また、住所が変わる場合には、住民票の変更手続きも必須です。この記事では、引越しを行う場合の住民票手続きの流れを、同じ市区町村への引越し、異なる市区町村への引越し、海外への引越しと海外からの引越しについて解説します。手続き期限や住民票を移さないとどうなるのか、自分が役場にいけない場合の対処方法も説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
同じ市区町村への引越しを行う場合の住民票手続きの流れ
引越しをする場合、引越し前の住所と引越し後の住所が同じ市区町村かどうかで住民票手続きの流れが異なります。ここでは、同じ市区町村への引越しを行う場合の住民票手続きについて解説します。
手続きの方法
現住所と同じ市区町村内で引っ越す場合には、在住している住所の役場に「転居届」を提出します。役場の窓口で「住民異動届」の用紙を入手し、「転居届」にチェックをしてください。現住所と新しい住所を記入し、役場の窓口に提出します。転居届の受理が完了すると、住民票に記載された住所が更新されます。
この手続きにより、次回から住民票の発行時に、新しい住所が記載された住民票がもらえるようになります。
必要なもの
同じ市区町村への引越しを行う場合、住民票移動の手続きにはいくつかの必要なものがあります。まずは、顔写真付きの身分証明書です。住民票手続きの際に本人確認をするために必須となるので、忘れずに持参してください。顔写真付きの身分証明書には、以下のようなものがあります。
・運転免許証
・マイナンバーカード
・写真付きの住民基本台帳カード
・パスポート
顔写真のない身分証明書でも住民票手続きは可能ですが、顔写真がないため、2枚提示が必要です。顔写真のない身分証明書には、次のようなものがあります。
・年金手帳
・健康保険証
また、役所によっては住民票を移す手続きに印鑑が必要なケースもあります。役所の公式サイトで事前に確認すると安心です。公式サイトで印鑑が必要かどうか確認できなかった場合には、電話で直接問い合わせてみましょう。必要かどうかは市区町村によって異なります。印鑑は住民票手続きに必要なくても、住民票手続きをしたことで必要となるそのほかの手続きに必要なケースも想定されます。例えば、児童手当や、原付の標識交付証明書の手続きです。そのため、念のために印鑑を持参するのがおすすめです。
注意事項
同じ市区町村で引っ越す場合、住民票手続きは無料です。また通常、手続き自体にはそれほど長い時間は要しません。しかし、引越しシーズンの3月から4月にかけては混雑することが予想されます。役場を訪れる際には、混雑が予想される昼前後の時間帯は避けるとよいでしょう。
異なる市区町村への引越しを行う場合の住民票手続きの流れ
続いて、現住所と異なる市区町村への引越しを行う場合の住民票手続きの流れを解説します。市区町村をまたいで引っ越すケースでは、まず現住所の市区町村に「転出届」を提出し、「転出証明書」の発行を受けます。
転居先の市区町村に引越しを済ませたら、引越し先の市区町村の役場に「転入届」を提出してください。現住所と異なる市区町村に引越しをする場合には、2段階での手続きが必要となるのです。
「転出届」を出す方法
現住所と異なる市区町村への引越しを行う場合、まずは、現住所からの「転出届」を提出します。手続きは、現住所の最寄りの役場で行います。現住所と同じ市区町村内で引っ越す場合と同じく、在住している住所の役場の窓口で「住民異動届」の用紙を入手してください。現住所と異なる市区町村への引越しを行う場合、「住民異動届」の「転出届」にチェックして、役場の窓口に提出します。転出届の受理が完了すると、「転出証明書」の発行を受けられます。
「転出証明書」は、引越し先の役場に新たな住所を登録する手続きに必要です。そのため、「転出届」を出すだけではなく、必ず「転出証明書」の発行も受けてください。
市区町村によっては、土曜日に「転出届」の取り扱いをしている場合もあります。また、決められた週末のみ「転出届」の取り扱いを実施している自治体もありますので、平日に「転出届」の手続きが難しい場合でも安心です。事前に市区町村の公式サイトを確認して、手続きが可能な日時と時間帯をチェックしてください。
「転入届」を出す方法
引越しが完了したら、転居先の市区町村の役場で「転入届」の手続きが必要です。「転入届」が受理されてはじめて、新しい住所が記載された住民票の発行が可能となります。まず、転居先の役場に行き、「転入届」の用紙を入手します。手続き自体は同じ市区町村で提出する「転居届」と同様です。ただし、「転入届」が受理されるためには、転居前の市区町村役場が発行した「転出証明書」が必要です。「転出証明書」を忘れず持参してください。
必要なもの
「転出届」と「転入届」を提出する場合、必要なものは、同じ市区町村内での引越しの場合と同じで以下の2点です。
・本人確認書類
・印鑑
印鑑は市区町村によっては不要な場合もありますが、転出と転入に関わるそのほかの手続きに必要になる可能性があります。そのため、念のために持参するのがおすすめです。
注意事項
異なる市区町村に引っ越す場合には、現住所の「転出届」を提出する際に、新しい住所を記載する必要があります。新住所が決まっている場合には、必ずメモしてから役場を訪れてください。ただし、正確な新住所が決まっていない場合でも、「転出届」の提出は可能です。役場の窓口で事情を説明し、転居予定の市区町村など、その時点でわかる範囲での記入をしておきましょう。
また、引越しをすると、賃貸契約や運転免許証の住所変更などで住民票が必要になります。そのため、「転入届」の手続きと同時に、住民票を何枚か取得しておくと役立ちます。住民票の発行手数料は市区町村によって異なりますが、一般的には1枚300円程度です。
海外への引越し・海外からの引越しに必要な住民票の手続き
海外への引越しをする場合や、海外から日本国内に引越しをする場合にも、住民票の手続きが必要です。基本的には、日本国内で引越しをする場合の住民票手続きと同様に、最寄りの役所で手続きを行います。ただし、必要書類が異なる場合があるので、注意が必要です。海外への引越しをする場合と、海外から日本国内に引越しをする場合に必要な住民票手続きについて解説します。
海外への引越し
海外への引越しで住民票手続きが必要なのは、海外に滞在する期間が1年以上になる場合です。海外に滞在する理由は、留学や旅行、海外赴任などいずれの場合も同様です。しかし、海外に滞在する期間が1年未満の場合など正当な理由があれば、住民票の手続きは必要なく、国内の現住所に住民票を残しておくことが可能です。一時的に海外に行くが、生活の本拠点は日本だという場合には、「転出届」の手続きは不要なのです。
海外に引っ越す場合の「転出届」の手続きは、国内で引越しをする場合と同様です。ただし、転出先の住所を詳しく記載する必要はなく、行き先の国名だけを書きます。また、海外に転出する場合には、「転出証明書」は発行されません。
海外から日本国内への引越し
海外での長期滞在を終えて日本国内に引っ越す場合、国内に1年以上滞在するケースでは「転入届」の手続きが必要です。手続きには、以下の書類が必須となります。
・写真付きの本人確認書類
・入国日がわかるパスポート、または飛行機搭乗日がわかる書類
・戸籍事項証明書、または戸籍謄本
・戸籍の附票の写し
海外から日本に転入する場合には、国内の引越しとは異なり、旧住所から転出したときに発行される「転出証明書」がありません。そのため、戸籍に関する書類で代用します。
ただし、転出先に本籍がある場合には、戸籍事項証明書、または戸籍謄本、戸籍の附票の写しの提出は不要です。
転出届・転入届・転居届の手続き期限
引越しをする場合には、荷物の梱包や荷解きなどをはじめ、新生活をはじめるために多忙な日々が続きます。新生活に必要なガスや水道、インターネット回線などの手続きもあるので、ついつい住民票の手続きを後回しにしてしまう人も多いでしょう。しかし、実は住民票の手続きには、期限があるので注意が必要なのです。転出届・転入届・転居届の手続き期限がいつまでかを詳しく解説します。
まず、異なる市区町村に引っ越す場合に手続きが必要な「転出届」は、引越し日の2週間前から引越し当日まで提出が可能です。また、異なる市区町村に引っ越す場合の「転入届」は、引越し当日~2週間以内に提出が必要です。最後に、同じ市区町村で引っ越す場合の「転居届」は、引越し当日から2週間以内に提出が必要です。
住民票の手続きをしなくてもよいと考えている人もいるかもしれません。しかし実は、「転入届」と「転居届」の住所変更手続きをしない場合、最大で5万円の罰金が課せられることがあるので注意してください。
もしも転出届をした後に引越しをしないことになった場合には、「転出届の取り消し」手続きを行いましょう。「転出届の取り消し」には期限がありません。しかし、取り消し手続きをしなければ、「転出届」を出す前の住民票が受け取れません。住民票が必要なときに困る可能性があるので、引越しがなくなったら、「転居届の取り消し」手続きは必須なのです。手続きには、以下のものが必要です。
・転出証明書
・顔写真付きの身分証明書
・本人、または世帯主の印鑑
また、個人番号カードや「転出届」を出した後に交付された国民健康保険被保険証などの証明書がある人は、あわせて提出が必要です。
住民票を移さないとどうなる?
引越しで忙しい時期に手続きするのがめんどうだけれど、住民票をうつさないとどうなるのかわからないと考えている人もいるかもしれません。住民票をそのまま移さなかったことがバレると、最大5万円の罰金がかかる以外にも、実はたくさんのデメリットがあるのです。住民票を移さないことで発生するデメリットについて解説します。
住民票の情報は、住民基本台帳にまとめられ、市区町村が管理します。住民票の手続きをしなかった場合、住民票の登録内容が変更されません。そのため、引越し先の市区町村の役場で、証明書の発行ができないのです。特に異なる市区町村に引越した場合には、印鑑証明や所得証明などの発行は、旧住所の市区町村役場でしか行えません。また、確定申告は旧住所の税務署でのみ、運転免許証の更新手続きは旧住所の管轄の免許センターや警察署でのみ可能です。
また、転居先の市区町村の福祉サービスや行政サービスを受けられず、住民が無料で利用できる公共施設の利用が有料になることもあるのです。新住所の地域での選挙権と被選挙権も行使できません。
住民票を移さないと、日常生活に多くの不便をもたらすことになるので、引越す場合には必ず住民票の手続きを実施してください。
市区町村役場へ行けない場合の対処方法
引越しをするので住民票の手続きが必要ですが、どうしても引越しをする本人が市町村役場にいけない場合も想定されます。この場合には、同一世帯の家族や、代理人が本人の代わりに手続きを実施することが可能です。住民票の手続きは、インターネットなどでは対応できません。引っ越す本人が市区町村役場へ行けない場合の対処方法について解説します。
対処方法
家族で住んでいる人が引越す場合には、世帯主以外の家族が市町村役場に行って住民票の変更に関する手続きを行えます。同一世帯の家族が手続きを行う場合には、本人確認書類と印鑑のみ持参してください。同一世帯の家族は代理人ではないので、手続きに関しては、世帯主と同じように手続きが可能です。
代理人と委任状
一人世帯の人が引っ越すが、本人が市町村役場にいけない場合には、「代理人」を立てて手続きをする方法があります。転出届・転入届・転居届いずれも代理人が手続き可能ですが、「委任状」が必要なので注意が必要です。委任状とは、引越す人が住民票の手続きを同一世帯の家族以外の人に任せることを証明する書類のことです。引越す本人が自筆で押印した委任状を作成することで、代理人による手続きができるのです。委任状の書式は、市町村役場の公式サイトでダウンロードできます。また役場の窓口で受け取れない場合には、公式サイトで入手してください。
代理人による手続きに必要なもの
代理人が住民票の手続きをする場合に、必要なものを紹介します。代理人による手続きをスムーズにすすめるため、委任状は正確に作成するのがおすすめです。
「転居届」「転出届」
・委任状
・代理人の顔写真付き本人確認書類
・代理人の印鑑
「転入届」
・委任状
・代理人の顔写真付き本人確認書類
・代理人の印鑑
・転出証明書
まとめ
住民票は、本人の所在地を明らかにするために必要な情報です。新しい住所の市区町村での公共サービスなどを受ける場合には、住民票の変更手続きが欠かせません。引越しをする場合には必ず住民票の変更手続きが必要なので、忙しい場合でも、忘れずに届出をおこないましょう。引っ越す本人が役場に行くことが難しい場合には、委任状を作成することで、代理人に手続きの実施を委任できます。引越し後14日以内に手続きを完了し、新生活を快適にスタートさせてください。